これが漂着船…
これが漂着船…かあ
散歩コースのひとつだが、雪嵐でしばし来なかった。
郵便局の帰り、ふとここへ迂回する気になる。先日、北朝鮮からの漂着漁船を羽咋市の海岸でも発見、という小さい新聞記事を見ており、今年は数がやたら多いので私も”発見”する機会があるかも…と期待しながら。
ん? これ、それではないか!! でも何だか既視感があるぞ。で知り合いの小塚記者に電話してみた。背景には波乗りたちがプレーしている。
「それどこです? テトラの…マリーナの…?だったら先日書いた船ですねえ。まだ片付けてないんだ。お元気ですか?…」
ーーああ、やっぱり。あわてて警察に知らさずよかったあ…。
漁船にしては変な形だ。
むかし小松市の木場潟沿いに高校美術クラブの先輩油絵画家がいて、この内本浄氏の随想にこんなのがあった。
彼が子供の頃の潟の風物で、小舟に水藻を揚げ、畑の肥やしにする話だ。底の平たい木造舟で、私も埋め立て以前の今江潟や柴山潟でも見たことがある。これらの潟は「加賀三湖」と言い、川で繋がっていた。
似た形なので、ここ羽咋市の邑知潟でも使用していた淡水用の木造沈没船が、この嵐で掘り起こされて浮いて出て来た”幽霊船”にも見える…。
が、やや大きいし、報道によれば他の漂着船の底も平たくて外洋向きではないとあったので、目前のもやっぱり北朝鮮から流れ着いたんだろう。嵐の日本海へ操業に出るにしては随分粗末な舟だ、と彼の国の人々の苦労を想像しながら同情を禁じ得なかった。
次の日にはシャベルカーが舟を砂丘に上げて、あれこれひっくり返して撮影するなど、10人ほどの人が立ち会い、調べた後はブルーシート掛けをした。
じっくり見学しすぎて、冷たい浜風で私はどうやら風邪気味になったらしい。年寄りの冷や水ならぬ”はな水”のお粗末でした。 中田虫人むしんど
925-0005 石県羽咋市滝町レ99-88 TEL&FAX 0767-23-4401