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赤飯まんじゅう

ギターの服部さんが、忘年会に持って来られ好評だったのが「赤飯まんじゅう」。
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羽咋市の昔の中心商店街にあり、今もがんばってるお店の一つ「あさお樹庵・菓子店」が唯一製造してるという。餡(あん)に代かえて赤飯が入っている。金沢や長野県などにも同菓はあるようですが、あっさりした甘さは、上に乗った栗が効いて上品。現代人好みかも。
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HPもあり、新聞、TVでも度々取り上げられている意欲ある経営をされている店。

当店舗がすでにこのブログ上で写真に写り込んでいました。これがそれで、左端に建物と看板が見えます。前の一画が火事でなくなり、私がマジックテープの縫製を頼んだお店は向かい側で品物ごと焼失。今も広場状態。
 ▷ [焼失]へ
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大伴家持(おおとものやかもち)が「寺家」の「氣太神宮」を訪れた748年、羽咋の海を詠った万葉集の一首がその包装紙にありました。
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万葉集はすべて漢字表記で、早いうちに読み方も不明となり、元本も存在せず、今知られる物は後世の写本や解釈なので、この筆も誰ぞの書家に依頼されたものでしょうね。
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「万葉集

氣太乃神宮(※1)にニ赴き参り海辺を行きし時作れる歌一首

  之乎路から 多多越え来礼ハ 羽咋乃海 朝奈記之太り 舩楫もか母
 (しおぢから ただこえくれば はくひのうみ あさなぎしたり ふねかぢもがも)


大伴家持」


訳:志雄路からまっすぐ越えてくれば羽咋の(※2)は朝凪ぎしている。船の舵取りがおれば(陸行しなくて)いいのに…。

⭐︎


(※1) 文献では「氣太神宮」と書いていて、「けたのかむみや」と読ませています。寺家遺跡(国道とのと里山海道交差地辺)にあった宮。(参考:韓語読みでは「きでじんぐ」)

(※2) 文献では「波久比能海(※3)で、邑知潟のことか”日本海”かは不明。潟を大きく迂回して神宮まで行ったとして、海岸か潟岸かで2説に分かれています。

でなく、私は結局途中からでも舟で行ったとも思うんです。歩行組の家来たちは村々を威圧行脚したかもしれないですが、歌を詠む気になったのは、家来が舟の持ち主を探し出す待ち時間の気持ちともとれるので。

また短距離の海岸コースを行けば、潟から海への河口(多分橋はないが浅いか)を渡らねばならない。大伴氏は武人だが身分は高く、実際の仕事(出挙すいこ=利子”徴税”)は家来たちがやったでしょう。舟は隠したらしく、見つからなかったかな…。ま、どの説でもいいのですが。

(※3)「(ひ)」:
アイヌ語では[ひ=い]で、[ひ]と[い]の区別はない。 ( [-i、hi]は動詞、形容詞に付き「-所」の意味)。
和・古語では[ひ・び・ぴ] ≠ [い、-い]。ひ、い、は違う語。

(はくひ);
咋らふ=食らふ、を仮に"くふ"と読んだ場合の(四段活用)連用形は「咋(=食ひ)。大和以降ですが、平安時代以降は加えて「く」「く」とも。ただしこれはあくまで仮の話、咋らふ であって咋ふ ではない(※4)

つまり昔は「はく(平安時代以前なので、大和系の発音では[ ファ・ク・フィ ]) 」発音だったが、アイヌ語でこそ「 はくが可なのです。

古くから、久比を「くい」とも読み、のち2漢字表記改名(713年)のおり『羽咋=はくい』と改めたとすれば、これは『羽咋が大和言葉でなくアイヌ語由来の”水田”の意味』説の補強文献になりえます。が「はく」と発音し始めた時期は不明です。

 では、「咋(くらふ)」を「くい(=くひ)」と訓ずるのが平安時代からとして、それ以前は何と発音したのでしょう。羽咋=はくらふ、はないでしょうね。
 またどうして「咋」の字を充てたのでしょう。「くらふ」を訓とする漢字は38字もあるといいます(類聚名義抄)。「字統(白川静、1994年)」では16字をあげています。ならば気多神社の古文書にある、怪鳥の羽を犬が咥え(くわえ)て来て羽、という語源記述が書かれた背後には、何か恣意的な意図や暗示があって、ただの作り話と片付けられるほど単純ではないのかもしれません。

家持の歌は2漢字改名後で「羽咋」と定められて35年ほど後と思われますが、三文字の表記は当時の地元発音(または彼自身の発音)に従ったものでしょう。地元民が、あらためて土地の名を聞かれれば、常は「はく」と言っていても「はく」という強調音になるのは自然で、日常的には「はくい」だった可能性は高いでしょう。

(※4)[=サク、かむ、くらう(くらふ)、おおごえ(『字統』白川静・平凡社)]で、「くう(くふ)」はない。

(中田虫人)

スペース滝
925-0005 石県羽咋市滝町レ99-88 TEL 0767-23-4401

by spaceTAKI | 2016-12-25 21:52 | ☆歴史/能登.羽咋語源 | Comments(0)