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スポコン君(21)

[田中雅紀氏の連載マンガ]
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黒部峡谷のトロッコ電車 4

トロッコ電車は往復2時間40分と、終着駅の槻平での休憩15分を合わせて3時間弱。かなり長い時間だ。私は往復とも楽しんだが、乗客の中には帰りは寝ている人もいた。

トロッコ電車の宇奈月駅に戻って、駅内のレストランで昼食をとりお土産を買った。時間はまだ1時半。これから金沢に帰っても明るいうちに着く。トロッコ電車だけが目的なら、金沢から日帰りでも可能な距離なのだ。でも私は黒部をもう1日味わいたくて市内にビジネスホテルを予約していた。

私は旅行する時よくビジネスホテルを利用する。もちろん予算の節約だが、そのほかに夕食をホテルの外へ出て食べることで、その街の雰囲気を知ることもできる。
駅前でしばらく時間をつぶしてからタクシーでホテルへ向かった。

■ 町中のサル軍団

宇奈月の町中を通った時、5~6匹のサルの群れを見た。タクシーの運転手さんが、通りかかった高校生ぐらいの女の子に「サルがいるから気を付けなさいよ」と声をかけた。襲われることもあるらしい。よく人家近くまで来るので困っているとか。途中で薬局によってもらい湿布薬を買った。長時間電車に座っていたので背筋の痛みが強くなっていた。

ビジネスホテルはネットで調べて予約したのだが、国道8号線の側にあった。このホテルでは個人的に面白い体験をしたが、書くと長くなるので割愛。

■ 黒部港はどこの港とも違った

翌日ホテルを出て、タクシーの運転手さんに「どこか見物する所はないか?」と訊くと「山には放牧場もあるが、黒部港はどうですか。黒部駅にも近いし」とのこと。黒部というと山のイメージが強いので、港と聞いてちょっと意外だったが黒部は富山湾や海岸に長くに面した県。

黒部港はこれまで見たどこの港とも違っていた。小さい。漁船が数船とまっているが、波もなく池かと思った。水に泳いでいたのはカモメではなくカモだった。外海はかなり遠い所にあるよう。想像すると港は陸地にかなり入り込んでいて、港と外海は川のような状態でつながっているらしい。

港の前には鮮魚や干物を売る「とれたて館」という建物。その向かいに魚介を食材にした「できたて館」。2つの建物は対になっていて、その間は木のテーブルやベンチが置かれた広場になっている。広場の隅に円形の小さなプールのようなものがあって、生きた魚でも入っているのかと思ったが、足湯ならぬ「足清水」と書いてあった。黒部は「名水」で有名なのだ。「できたて館」で昼食をすませ、黒部駅へ。

黒部駅は夕方近くなると通勤通学の人でいっぱいになった。高校生が多い。2日前にきた時とは大違い。
このあと帰りの特急をホームに出ていながら乗り遅れるというハプニングがあったが、駅員さんが親切に対応してくれて、30分遅れの特急で無事金沢へ。
旅行は色々大変なこともあるが、それも日がたてば良い思い出に。旅のよいところ。

■ トキ

書き忘れたこと。黒部という名前の語源はアイヌ語だと、トロッコ電車内の案内で室井滋さんが話されていた。

旅行から帰って1週間後の新聞で知ったこと。タクシーの運転手さんとの話題にも出た黒部に棲んでいたトキ。そのトキは5カ月間能登の羽咋市に滞在していたが、また黒部に帰ったらしい。 ( 田中雅紀 )


by spaceTAKI | 2013-12-11 07:35 |  スポコン君(花丸ゆう) | Comments(0)