クルーザー発つ

月曜の午前中早く、停泊していたクルーザーは輪島へと旅立った。

ちょうど浚渫船(しゅんせつせん)も港を出る処で、港内では行く手を阻まれたかっこうだったが、スムーズなクルーワークで、さすが手慣れたものと見とれる。
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この朝、クルーザーの主アガサさんが船から出て、定置の滝丸を見に行ったのを見かけた。私もカメラを持って出たが、作業は終わっていて遅すぎた。
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顔見知りの漁師さんにきくとイワシではなく大小のアジだそうだ。小アジは港内でもあがっていて、土日の家族連れも中堤防で釣っていたし、手前ではハゼ(カワギス)が少し。もう海はすっかり夏と言ったところ。
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前日、アガサさんは日本に来てから合流し乗船中のトムさんと金沢21美と東茶屋街へ列車で行った。兼六園へは行っていない。むろん私は紹介もしたのだが、理数系繋がり教養人の彼らには金沢21美の方に興味があったのは確かだろう。

その前、船上のミニパーティーの日、東間氏が自分の作品や、今抱えている問題とその戸惑いや意欲、疑問を熱っぽく語った。トムさんがこれまた延々と物理学の思考や方法論を説明して彼に答える、などという高度な英会話が展開した。(私の理解はせいぜい20%ですが想像はつくんであります)。だから、現代美術の面白さや奥の深さを知った(知ってる)彼らが兼六園より21美を選んだのはそんななりゆきからかも。

ともあれ、広い世界を知ってる人達(外国人)に、21美が人気があるのは確かで、彼らのは兼六園観光のついでにそこを訪れるといった消極的なものではないのです。(”権威”下で学習しなくとも、子どもからインテリまでが面白い!と感ずるので、自然にくちコミで世界に広がる性質のものです。)

 角永和夫氏が10日ほど前にアメリカから帰った、と別件での電話連絡があった。21美のコレクション(彼の作品も収蔵がある)に違和感のある物があると私が話すと、館長の意向だということだった。公立だからいろいろあるかも知れないが、県の美術館もすぐ側にあるのだから、上手い棲み分けをしてそれぞれの魅力を際立つようにしないと魅力に翳(かげ)がさすし、以降の地元のもろもろの判断や展開にも誤った影響を与えかねないと私は危惧するが…上に立つ者次第のことで、今更の話でもないか…。


羽咋駅まで車で送る途中、渚ドライブウェイに寄った。トムさんは心から面白がっていて、UFOの街のイメージとともに、この地を心に刻んだことと思う。
彼女は大阪に戻る彼と別れ、別の男性を金沢駅から伴って夕方に滝町へ戻った。彼はトムさんに代わってアラスカへと2女性に同行する。
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シンガポール在住のJay[ジェイ]さんと言う。これは珍しい名と思う。ABCのJ一字かと?マークだったが、アガサさんは私の手のひらに指で綴りを書いてくれた。

彼はテキサス出身で、大学で数学を教えていたが教授ではないらしい。私の印象は、戸惑いのない涼しげな目つきで、むかし東京の赤坂のディスコクラブで見かけたベトナム帰りの青年兵士のように若々しく見えた。が、こうして写真を見るとなるほど40前かあ、と納得はする。数学などやってる人はどこか万年青年のような初々しさがただようようだ。
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今朝、船の出港準備を見守る私に、浚渫船の監督さんが車を止めて降りて来て、二人で船を見送った。

「昨日留守番のフランス女性を柴垣の長手島、妙成寺、気多大社と案内したのだけど、『日本人はオープンで親切。どうしてだろう?』ときかれた。田舎だからで、都会では違うだろうと言ったのだけど…」と私。

船主アガサさんとはフランスにいた時からの友人アルバーヌさんは、南アメリカの複数国のスペイン語圏暮らしを経験しているというから、日本人のこうしたキャラは好感を持つとともに不思議なんだろうと思う。(後で聞いたが、喫茶の常連さんたちが隣りへ誘って飲んだあと、支払いはいいと言うのに彼女らは困ると断ったので、少しだけの割り勘にしたらしい。確かに漁師さんたちの性格もあけすけで友好的ではある)

「私は東京にも居たが、都会人でも(外国人に対しては)日本人は同じだと思う」
と監督さんは応えた。
「そうですねえ、遠い所から来てくれたと思うと、無意識に親切にしてる…」
「日本では貧富の差が小さい。このことが良い関係を産む土壌なのかもしれないねえ」
などと話すうちに、船は灯台後ろに回り込んで、姿を消した。
快い疲れと、別れにつきものの小さな寂しさが波止場におきざりになった…。
虫人

スペース滝
925-0005 石県羽咋市滝町レ99-88 TEL&FAX 0767-23-4401
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by spaceTAKI | 2015-06-15 12:21 | ■人 | Comments(0)