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くっつく

くっつく」は、奥が深いので多くは語れれませんが、身近な重要な働きで物作りには付きまといます。

夏の展覧会の作品作りに5m幅の布を注文し、京都からのを待ってますが、マジックテープを縫いつけ固定するかたち。強力なテープのはずですが、どんなものがとどくのでしょう…。

一般市販のものはカギ状のフックが、ループ状の輪にからまって固定される仕組みです。
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輪は織り工程で、一部の編み目をゆるめる制御が出来れば作れそうです。
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フックは、目を輪状にした後、熱を加えて断ち切ったように見え、先端の向きが2列単位で向き合っているのが観察できます。
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この青のテープのように、相棒テープを持たないものもあります。
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使い捨て下着の固定に使われていたりするものですが、突起が微細で肉眼では仕組みが分かりません。
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拡大撮影では、相手の布目に合わせた細かさで突起をつくり、その先端を熱で溶かして平につぶしているように見えます。ここがはみ出した☂状の、引っ掛けになると分かります。下スケッチ図のA,Bがそれ。はがす時に生地を傷めるし、布目サイズによってはくっつきません。
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 下図のCは、金製の板に金の針の先端を接触させた時の分子の状態を表しています。
分子レベルを観察できる顕微鏡の映像では、針をずらすと、先端で合体している数個の分子がコロコロ移動して次々針先と合体し、通り過ぎると元に収まって行く様子が、TV公開された事がありました。
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金のような安定した物質でも接触しただけで分子レベルでは合体しているのですから、人が握手したりキスしたりすることの意外な意味と本質が示されているとは思いません?

私が今回目指す作品は、日常の世界と全く違う動きをするという素粒子の世界の面白さに興味を覚えて始まりました。電磁力、強い力、弱い力、重力という四つのフォースがこの世界を結びつけていて、先頃は重力波が観察出来たというニュースが話題になりましたが、重力子(graviton)の存在証明が残っていたので、これでアインシュタインの一般相対性理論の正しさがまた証明される、ということらしい。

 ビッグバンからの急速膨張、温度低下で物質(質量)界が生まれ、素粒子から大宇宙までが今も尚4っつの力で引き合っています。「くっつく」のが何であれ、つまるところ物理現象ということでしょう…。物理現象やその成果をコンテンポラリー・アートが"表現"に利用しない手は無いと思います。

 でも、私のは「くっつく」がテーマではありません。「見えないものをどう見せる」という長年やってきたコンセプトの新たな延長としてやってます。虫人(むしんど)

スペース滝 925-0005 石川県羽咋市滝町レ99-88