「はい」は広東語

は〜い、はい。

長屋のおかみさんなら「あいよ!」と応えるだろうし、武士なら「おう!」とか返事するでしょう。


d0329286_21255291.jpg「争覇(The conquest)」は2006年制作の中国・春秋戦国時代の歴史ドラマ。北陸人なら多少気になる呉越の戦いと、20年以上の復讐劇(BC5世紀)の話。

なにしろ北陸辺りは前、中、後に加え、越中富山で西・東と二分する地域。もっとも越は「こし」で、呉の要は呉羽で「くれは」と読み、中国の呉・越と関連があるのかはナゾですが…。

ドラマ中で時々「はい!」「おう!」と発音し相づちをうつ。「ワンス・アポイン・ア・タイム・イン・チャイナ」という近代革命ドラマでも確かめましたが同じでした。

「はい」も「おう」も、中国語でしょうか?



800年程まえの「宇治拾遺物語」に比叡山の稚児が「えい」と返事すると書いてはいるが「はい」はせいぜい300年前からだろう、と書いたブログ記事を見ました。とすると偶然か?

念のため調べると中国語では要請応答(=承諾した)で「啊(ア)」「哎,唉(アイ)」と使うが、日本語の「うん」と同じ意味の使い方はしないらしい。耳が悪い私は「アイ!」を「はい!」と聞き違えしているか…。

韓語、アイヌ語でも日本語式使い方(「うん」の意味の「はい」)は見当たらないのですが、アイヌ語会話辞典で「Ku ibe rusui(=はい空腹です)」をやっと一例見つけました。が「ク」では遠い。でも縄文語はこれに近かったかもしれません。(「うん」はこの系統かも。ku→u→un→n、と閉口への変音) *1

韓語辞書には「hai」と言う返事語はありません *2。アイ[ai (아이)]という感嘆詞はありますが「あれ〜!」に近い意味。もっともわたしの国語古語辞典にも「はい」項はありませんが「あい」という返事語はあります。「あい」だった語を「はい」とひろめたのは江戸時代の寺子屋か明治政府かも。

中国の広東語(かんとんご)では肯定の返事に「喺(ハイ)」を使うとあります。広東省は南方の(広州)香港あたりで、呉越があった所は上海辺でかなり北になります。が、遺伝子学的には民族が昔、南下したと分かっています。
戦火からのがれ、南や、東の日本へ渡った人々がいて北陸に根付いたケースも勿論あるでしょう。呉羽の縄文初期遺跡からは南と北からの混合人骨が91体出ています。

今の日本語はカタカナ英語まみれですが、昔は中国語まみれなので「あい(はい)」は大昔からの中国語である可能性がとても高い。面白いですね。虫人

*1:アイヌ語会話字典(明治31年・金澤庄三郎・新保小乕著)では「E(お前) ibe rusui …?」の問いに「Ku ibe rusui」=「はい空腹です」の訳をしているのですが「Ku」は「わたし」の意味で、意訳が過ぎての「はい」記載の可能性が大です。他辞書では「Ku=はい」は見出せないので、アイヌ語では日本語の「はい(うん)」にあたる返事語は存在せず、返事語は組織立った軍隊などには不可欠でしょうから古中国語由来と見るのが妥当と思います。

*2..日本語と韓語は近似性が最も高く、また多くの漢語を含む言語。でも
日本語の返事語「はい、うん」とはやや違うニュワンスのようです:
네 [ne, ネ]:目上人への最上級の返事語「はい=yes」および反問の「は=what」(1970年刊・韓日辞典)。
      : 肯定、承諾の意のはい、ええ(2009年初版、韓日・日韓辞典)。
에 [e、エ]  : 意にそぐわぬ時の「ええい(くそ)」「いや、」。語調を和らげる「え…」。
자 [ja、ヤ] :注意喚起語「ハイッ」「さあ」「よし!」

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by spaceTAKI | 2016-06-12 21:36 | ☆歴史/能登.羽咋語源 | Comments(0)