角永、渋谷氏にTV賞
4月13日
今朝の新聞に「受賞」が大きく掲載されました。ご両人とも何度かスペース滝に来られたり、作品展示に協力いただいたりしてますので、私も受賞は嬉しい!
特に写真家の渋谷さんはこれまでの活動が評価され、報われたかもと想像します。先に当館に顔を見せられた時、写真界やこれまでの歩みに話が向いて、何気なくおっしゃったことが私の心にひっかかってました。
「今までやってきたのは何だったかなあ…」
と、ポツリ。ペースメーカーを埋めた体で81歳になり体力気力も落ちたのかもしれないけど、タフで行動的な彼らしくない言葉でした。
今でこそ誰もがインスタ映えを楽しむ時代ですが、彼がカメラ一筋に生きるためには、ほかの多くの物を犠牲にしなくてはならなかった。写真表現に求められるものも今は違う。地元紙がらみでは嫌な思いもしたが、新聞業界やメディア自体のありようも変革の中にあります。ネットとは無縁の世代、思うに任せぬ晩年だと感じておられたかもしれません。私にもどうにも成らぬ話でしたから、今回の受賞は特にうれしい。
角永和夫氏は、それにもまして仕事にエネルギーを注いで来られたし、結果も出して来してこられたのだから受賞は当然でしょう。
ところで、地方の公立美術館について思う事があります。ローカルな作家の肩を持つのは仕方ないとして、宝庫”といえるほどの経済価値を持つコレクションをしているかと問えば、現代の美術に限れば、ローカル資料の意味ていどで時代とともに見向きもされない持ち腐れコレクションに成らねばよいがとも危惧されます。
時代を越えて遺すべきものと、忘れ去られていいものとの見極めが学芸員に求められる資質であると思うし、米国のように、公立美術館がコレクションを売った資金でより価値あるものに買い替え得る柔軟性も必要ではないかとも思います。それには国際的視野を見据えた広い見識がいるわけですけれど、現状はどこかちぐはぐで的を得ていない気もしています。 中田虫人
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