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縄文・水の根っこの里をいく 

日本人、縄文・三引の里をめぐって(4)

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🐚 生水(しょうず)の村を歩く


 三引を訪ねた。あまり知られてない”観光地”を見て回るのは大好きだ。遺跡の周囲に今も村落が散在する。遺跡は古代、中世の遺跡も重なり、これらの村に続くのかもしれない。
 大きめの村に入って車を止め、庭先でプラスチックの波板を切っているお父さんに聞いた。

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ここは三引ですか?」
「そうだよ」
「前の水田を挟んで向こう側にも集落がありますよねえ」
「ああ、こっちから一区、二区、と順に呼んでる」


後で知ったが、一区は昔A北側」と言う集落で、向かいあたりは「上野ヶ丘」、その山手が「浦上」。戻って一区の山側隣がB,C谷内」で、そこでは赤蔵山の裾を回り込んで、神社の鳥居前に出る。その辺りが元のD三引」らしい。どの村からも遺跡を前にする格好にはなる。

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一区を北側と呼べる位置は谷内と三引だ。今も神社や寺が存在し、あたりの中核域だったろうと思わせる。遺跡を含む今の水田域のほとんどは縄文海進で水につかったろう。村々は海抜2.5〜3mぐらいだろうか。

 貝塚からは土器、石器、土偶、骨角器、獣骨、魚骨などのほか、木製の漆塗り櫛、丸木舟の櫂(かい)、人骨も出ている。ドングリを貯蔵するための穴、土坑とあるのは掘立柱の跡か?。4(5?)箇所の貝塚は30cm厚ほどだから、何千年も定住したとは言えないし、小ぢんまりした谷合で大集団だったのでもない。貝塚が県一規模と言っても、富山県の呉羽駅北の小竹貝塚遺跡から見れば平凡。注目点は世界最古という櫛の古さだ。いったい、ここの人々はなぜこの地を選び、どんな暮らしをしてたか。私は村のあちこちに入り込んだ。

 冒頭の水流の小さな動画は谷内で撮っている。

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行き止まりの道路の乾いた側溝が途中から水を得て、すぐに他からの水脈と合流して”動画”の所になる。

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湧き水は今では生活用水より、水田の農業用水として一滴も漏らさないように運ばれているようにも見える。能登は水資源に乏しく溜め池が多い。森や山が吐き出す水は枯れることは先ずない。森が雨水を保水してダムの役目を果たす。

 三引の方へと回ってみよう。

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途中、山寺前を通り、この鳥居前に出る。ここは昔、赤蔵山(179mh)への入り口だったに違いない。
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この鳥居前辺りが元々の三引になると思われる。自動車道高架橋の向こうに連なる峰は海に臨む岬のように右手に延びるが、名前はない。
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 下写真は赤蔵山を平野から遠望する。峰がなだらかで、適度な里山と言える。この辺りでは最も高く、名前も知られている。

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 赤倉神社の鳥居先を登ると、山中間も無く『御手洗池(みたらしいけ)』という名泉を湛える「御池」があり、全国100名泉の指定を受けている。その駐車場まで行ける脇道もある。

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 ここの案内文では、馬ともに入水した戦国負け武将の赤い鞍が元旦未明に浮くので「赤倉」であり、角川書店の『全国地名大辞典』では、三引の名は「水飲み場・お池・杉の堂の3カ所から発する三引川水源の霊泉にちなむという(鹿島郡誌)」とある。

 しかし土地勘がないのでピンとこないし、川の名の語源なら三引もありだろうが、これでは水田作り時代以降の大和言葉であって、縄文人の言語ではない。
赤倉(蔵)の”鞍物語”は鶴来町の倉が岳の池でも同じ伝説があり、こちらも凡凡。

実はこれらはもっと"地に足の着いた"アイヌ語翻訳が可能なんです。(つづく) 中田むしんど

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by spaceTAKI | 2020-11-05 19:50 | ☆歴史/能登.羽咋語源 | Comments(0)