霧笛が聞こえそう
中田虫人 Mushind N.(Blog mgr.)
朝5時も過ぎればもう明るい。おととい作り直したカーテンを開けると外は白い風景になっていた。
カメラ片手に外に出てみる。どこもかしこも霧の中で絵になりそうにないけど、ともあれ撮ってみる。起きたばかりで白髪頭がボサボサだが、こんな早くだから人に見られる事もあるまいとタカをくくっていたら、マスク姿のお父さんが霧の集落から現れた。誰だか分からないけれど、滝町の人に違いないから挨拶がわりに私から声かけをする。
「すごい霧ですねえ」
「手伝いの人は来てるかい?」
はーん、船主さんが心配してみに来たのか。
「来てますよ、ほら」
と目配せする方には、定置網船の滝丸の作業員らが、昔のモノクロ映画で見たような霧笛の中の波止場よろしく影絵になって動いている。
「網が、やっと繋がったそうだ」
とお父さんが私に話し掛けるけれど、この頃は耳が悪くなって聞き取れない。手をかざして耳を寄せると、マスクの中から大きく復唱。
「網が、やっと繋がったそうだ」
「ああ、そうなんですね?」
と、分かったような返事だけして、頭のなかでは目まぐるしく状況判断をやっている。
お父さんは話が半分しか分かってないらしいと察しがついて、私から離れたけれど。さては定置網が解けたか破れたか、とにかく仕事が中断してたんだろうと後になって想像した。
もう10年も住みつくことになったとはいえ、漁師でもお百姓でもない、場違いのよそ者アーティストに気軽に声をかけていただけるだけでありがたい。
このところ何度か買い物に遠出したけど、筋肉をほぐす技術を身につけたせいか腰痛に悩まされることもなく、無事、高岡や金沢から戻っている。
昨日はシンセサイザーを買った。中古屋さんのハシゴをしたけど、知識不足で決め手に欠ける。迷ったあげく、アナログ機能の木目調で軽くてコンパクトなものが1台だけあったのでそれにした。([ページ下『more』をクリック]には詳細記事付いてます)
「音映(おとかげ)」作品の視覚部は一段落で、当分は音楽部分の進展をしたいと思っている。デジタルピアノの初期曲から、一段グレードを上げた別の曲を作ってみたいのだけれど、ほとんど馴染みのなかった電子音の世界で、今から経験を積むしかない。
電子ピアノ、シンセサイザー、キーボード、ハモンドオルガン、グラヴィーノ、エレクトーン、etc。鍵盤付き楽器だけでも様々。それぞれ似ているけれど異いがあるらしい。そんな中で自分の仕上げイメージに近いのはどれなのか? 買ったばかりのシンセサイザーを試してみれば、いつも触れてるアコスティックなピアノに比べると何だかオモチャみたいな気もするけど、使い方次第なんだろうなあ。
ネット世界と同じく、新しいものは学ぶより慣れろだ。いつかはこのモヤモヤも晴れるだろうと窓外を見れば、堤防先の釣り人たちさえも見分けがつくほどに港の霧は晴れ上がって明るく穏やかだ。今日はそれなりにいいお天気になりそうな気がするなあ、と伸び放題の草むらが揺れるのを気にしながら海を見る。さて、ブログも揚げたし、朝食の準備とcoffee にいたしますか…。
925-0005 石県羽咋市滝町レ99-88 TEL; 0767-23-4401
KORGというメーカの「micro KORG」。中古なので2万円以下。ただしネット検索では後ろ真ん中からマイクが立ち上がっている写真があり、私のもは取り付け部が有るのみでマイクがなかったため安かったのかも。この機種は「VOCODER」というサブタイトルのあるシンセサイザーで、人の声に似た音も出せて面白いのですが、私の作品には合わないでしょう。中古品でもPC端子(SDカードやUSB接続端子)が付いている新しいタイプのものは高額。それでも10万円以下でした。中にはアンプとスピーカーが内臓されているものもありましたが、重いので諦めました。