この窯が崩れたら、私は一生後悔する!

M. IREI (沖縄県)
2020年9月、手造りの穴窯と大量の薪を残して、やちむんや(焼き物をつくる人)の夫が突然旅だってしまいました。
私は大きな柱を無くし眠れぬ日々を過ごしました。
「(君が)退職をしたら、一緒に焼き物をやろう。」と、
でまかせであったとしても、そう言ってくれた夫を恨みたくもなりました。
全くの素人なら、諦めもつくでしょう。
しかし仕事上、多少なりとも焼き物に携わっていた私には、「薪窯は、焚かなければ2~3年で壊れるよ。」という知人のやちむんやの言葉が重くのしかかりました。

「上手く焼けるだろうか?」
「窯が壊れはしない?(ごめんね。義信さんを信じていないわけではありませんが・・・)」
「体力がもつ?煙で近所迷惑にならない?」…
思考が停滞し自問自答を繰り返す中、周りの方々は私を心配し、窯は諦めるよう説得していました。
そんな折に私の背中を押してくれたのは、義信さんのやちむんの友人でした。
「一緒に焼きましょう」とおっしゃって下さいました。
さらに決め手となったのは、工房の窓から見えていたのどかな原野に買い手がつき、何十軒もの建て売り住宅として2021年に建築がスタートしたことです。
薪窯を焚くには待ったなしの状況です。
「一度も焼成しないままこの窯が崩れたら、私は一生後悔する!」と私は心を決め、窯焚きの資料を読み込み、多くの知人から学びを得て、情報集めに奔走しました。


[追伸]
10年程前に、以前から使用していた 「いってこい窯」を取り壊し、研究を重ね、新たに穴窯を造成し、残すところあと煙突のみというところで伊禮義信は無念にも倒れてしまいました。
沖縄の原土や植物にこだわり、手製のコテ一つとっても、丁寧なひたむきな仕事に胸打たれました。
彼の焼き物への真摯な想いが、少しでも、皆さまにお伝えできればと願っております。 M.伊禮
スペース滝
925-0005 石県羽咋市滝町レ99-88 TEL; 0767-23-4401

