スペース滝をつくったわけ
中田虫人 Mushind N.(Blog mgr.)
「ホクモウ」と言うのは漁業者から出た産業廃棄物を引き取る会社です。七尾市にあります。昨日の朝早く我が家の窓前で作業してました。古くなった定置網を処分するようです。

この会社名を見たのは14年ぶりです。私はその2年前に、今住んでいる所を買い、金沢から滝町に通いながら6年かけてスペース滝に改装しました。元はトロール船の底引網を作成していた作業所で、中の両脇には2段に重ねて、計8列の網の束が並んでました。ホクモウに来ていただき助かりました。

美大を出たから美術家になれるという甘い世界はありません。アーティストはそれぞれが、その生き方自体を創造しながら生きていかねばなりません。幸い美術家を目指す若者が後を絶たないので、美術の教授という職業は比較的安易に成り立ちます。が、教授は教育の専門家であって芸術家とイコールではなく、多々問題はあります。
日本には貸画廊というシステムがあり、お金を出せば誰でも銀座で個展ができます。一見良いシステムに見えますが、当然弊害も多い。日本からの国際的な作家と画商を育ちにくくしてる素地の一つだろうと私は思っています。
地方人が銀座の貸画廊で個展をすると、滞在費も含め百万円近くかかり、見に来るのは親戚と友人のみという話を聞いた若い頃の私は、それを使わず貯めれば常設展示場が造れると考えてスペース滝をつくったのですが、そのために使った長い時間とエネルギーが制作活動そのものを大きく阻害したのも事実です。
幸い、間も無く79歳と長生きしたので、夢に見た”制作三昧”をさせていただいてます。身体のガタを除けばこの上ない幸せな毎日です。
昔、メルツバウと言う名の、自家そのものが作品化されたた家がありました。家主のクルト・シュヴィッターズは徹底した破壊を目指した「ダダイスト」にはついになりきれなかったドイツの作家です。現在「メルツバウ」は皮肉にもナチスの爆撃で消失し、数枚のモノクロ写真を残すのみです。スペース滝も記憶のみ(あるいはそれさえ残さず)で、いずれ消滅するでしょう。似たような存在かなと思ってます。

ホクモウの作業を見るて、改めて色々と思い出しますね。

